四国ビジョン検討4:世界トップのエンジニアがSakana AIに集まるワケ 《共同創業者・伊藤錬インタビュー》文芸春秋 2025.4
- shkatounfbcpf
- 4月7日
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四国ビジョン検討で、AIデータセンターや日本版AI-LLMなどに注目しています。経産省などの応援もあり、大手金融機関や大企業や海外からの出資も相次いでいるスタートアップ「Sakan.AI」を勉強しました。文芸春秋のインタビューを紹介します。
日本発AIベンチャーのSakana AIは、創業から1年以内に企業価値が10億ドルを突破したことから”日本最速のユニコーン企業”と言われる。Sakana AIの原動力は、世界トップクラスの人材にあるという。AI業界の人材獲得競争が激化するなか、なぜSakana AIは優秀な人材を獲得できるのか。Sakana AI共同創業者の伊藤錬氏が語った。
◆シリコンバレーから距離を置いて…
アメリカ、特にシリコンバレーを含むベイエリアでは、人種差別の撤廃やジェンダー平等など社会的正義を追求する「ウォーク(woke)」の風潮がともすれば強くなりすぎて疲弊している人もいます。例えばある企業は、IT用語でもある「Black Box」という言葉が人種差別を助長するとして使用禁止にしています。あるいは、同じ「ウォーク」の観点から、国防関連の研究や仕事に携わることがタブー視されるケースも多いと聞きます。もちろん私はあらゆる差別に反対です。実際、我々のチームは出身地、人種、性別、経歴などいかなる点からも多様性の宝庫です。そして、AI開発の文脈で言うと、もう一つの意味での多様性というのは、シリコンバレーから少し距離を置いて、他とは違うアイディアに取り組むことだと考えています。なんのために多様性を実現するのか、それは社会的に正しいだけでなく、それが力の源泉になるからです。このような適度なバランスを保つことができれば、日本は優秀な人材の新天地として新たな選択肢になり得る可能性があります。
◆ウォークマンを生み出した国
また、海外のエンジニアたちを日本に招く中で感じるのは、日本にはまだ「テクノロジー大国」としてのブランドイメージが残っているということです。かつてテクノロジー大国と世界から称賛された時代を知っている世代は、特に日本の現状を憂えているようです。しかし、海外からやってきたメジャーリーグ級のエンジニアたちは、不思議なくらい「日本はウォークマンやファミコンを生み出したテクノロジーの国だ」とリスペクトを隠さない。私は日本にこのイメージが残っているうちに、1人でも多くのメジャーリーガーを連れてきたいと考えています。もっとも、それだけで優秀なエンジニアたちが日本に来てくれるほど人材獲得競争は甘くありません。Sakana AIでは、腰を据えて研究に取り組んでもらうため、海外のエンジニアにも家族ごと日本に引っ越してきてもらい、毎日でなくとも基本的には東京のオフィスへの出勤をお願いしています。全く新しい視点での研究開発を追求するためには、対面で会って、ホワイトボードを使ってアイディアを出し合うプロセスが不可欠だからです。
◆半歩先の未来”が人材を惹きつける
実際、昨年3月、我々はオープンソースのモデルが急速に普及する時代の到来を予見し、複数のAIモデルを少しずつ組み合わせて性能を高めていく「進化的モデルマージ」という手法を提案しました。さらに昨年8月には、今後は単なるチャットGPTの活用に留まらず、大規模言語モデルを駆使して科学研究に代表される人間の知的活動プロセス全体を自動化するAIエージェントの時代が来ると見込み、「AIサイエンティスト」という革新的なシステムを打ち出しました。エンジニアたちに「なぜグーグルやオープンAIを辞めてSakana AIにきたの?」と聞くと、なかには「寿司が好きだから」と答える人もいますが(笑)、多くがSakana AIの「ビジョン(予言)が面白い、そしてその予言が当たるから」と答えます。これが、Sakana AIにメジャーリーガーが集まる最大の理由なのです。
以上
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